ほら、また、この感覚。
迫ってくる音。
中間の速度で流れる映像。
たまにこの感覚に支配される。
きっかけは分からない。
長く続くこともあるし、すぐ終わることもある。
視覚は至って中間の速度と色で捉えられる。
自分が行っている事や見ている物が、まるで外側からやってくるような感覚。
早くもなく、遅くもない速度で流れる映像の様。
対照的に、聴覚がものすごい早いスピードで迫ってくる。
中間の速度の動きをしているのに、それに見合わない調子で激しく、ざわめきをもってまくしたてられる。
己が聞こえてくる音の全てにせめぎ立てられる。
一つの身体の中で別々の速度と色が同時に作られ、認識させられる。