2013/12/19

薄氷の下の夢

あたたかいの?

重ねられるはずだった温度、重ねられた温度。
温度に呼び寄せられた温度。
その肌触りはあらゆる熱量を育むも、やがて消えるだろう。

ふと、意識が戻ると、光に包まれていた。
先ほどまで脳裏で重ねられたはずの出来事の余韻がまだ体内に残っている。
熱を帯びた瞳が、光の強さを計りきれずに、視界を定めれず、ゆらゆらと漂う。
やがて光に屈服し、あきらめと同時に視野を移した。
そこは朝だった。

再び生暖かい温度が戻るのを待っている。
しかし、明度の上がった部屋に、いくつかの窓から差し込む直射日光が淡色の瞳孔を震わしているだけだった。
固く閉ざされた瞼を透かして、青みがかったピンク色の血管がうっすらと浮き上がる。
今にも消えそうな薄氷の膜に覆われた血液が、青白く淡色に鈍く動き始める。

カチンと音、
とたんに、畳み掛ける様な速度で乱立した音達が四方から音が流れ込んでくる。
ひとたび流れ出した音は、只身勝手に流れ込んでくる。

頭が蹌踉めき彷徨う。
温度はみるみる消失し、そこらじゅうで闊歩しはじめたに実体のない出来事に追い払われてしまった。
温度はもう帰って来ない。

いつ だって、いつ だって。
冷えきった体を起こし、止まっている手巻き式腕時計を巻き直す。