2014/01/17

侵入者

「与えるって言うのは、暴力行為なんだよ。」
置き換える様に言い残す。
残された私は、また待ち続ける。

ある晴れた日、古い蔵の中を探索する事が決まった。
長らく、文明と接続を絶った、未知の領域に、幾分か興味をそそられた。

幾人かの仲間と共に、重く分厚い引き戸を無理やり引くと、バラバラと壁の砂が溢れた。
目の前の視界が開けると、隙間から差し込んだ光が先ほどの砂埃を反射してキラキラと浮遊している。
辺りは誇り臭かった。

所狭しと乱雑に詰め込まれた民具の隙間を、大股でまたいで奥に進もうと試みるが、どうにも進めそうにない。
諦めて、戸のすぐ側から登れる階段を先に上がって、屋根裏から覗く事にした。
上階へ進む道中の軋む音にも躊躇無く進む。

誰かの写真がバラバラに押し詰められた木箱が足下にあった。
若い男女が海辺で映っている写真だった。
そこには、白人女性と、日本人らしい東洋人男性が、ビーチチェアに座っていた。

妙に興味をそがれた気がしたが、程なくして他のものに心奪が止まった。
誇りで黒くなった私の足下には白骨化した猫がいた。

せいとせいの活動を破壊し、補う、そして、与える。
不完全なそれ。